グランドデザインコンテスト

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新電化建築(1)

「新電化建築」とは従来は存在しなかった言葉ですが、グランドデザイン・コンテスト事務局が平成14年の第一回グランドデザイン・コンテストの準備段階より使用している新しい発想のコンセプトです。

この「新電化建築」の構想は平成14年当時からコンテスト事務局を担当していた関係者がグランドデザイン・コンテストに相応しい新しいコンセプトを策定し、一般にも理解できるように体系づけて提案するべきテーマとして採り上げ協議したものです。

「新電化建築」の要点は読んで字の如く「新しい電化建築」の意味ですが、内容は「新エネルギー等」と「夜間電力」を重点的に活用するハイブリッド方式です。
基本的には技術的な革新により現状の電化建築を更に大きく前進させようとするのが目的です。

当グランドデザインコンテスト事務局もコンテストのスタート時点ではオール電化を第一に募集要項に上げていましたが、その当時目指していたオール電化と現状のオール電化とは考え方が大分異なって来ました。

当時の電化建築は「主たる熱源を夜間電力で代替するシステムの提唱」であり、現在のオール電化は「文字通り他のエネルギーを一切使用しない事」を指します。

この違いの理由は当時はIHクッキングヒーター等の普及もなく厨房まで含めた厳格なオール電化を提唱する必要性もなかった状況もあり、住宅の厨房等で使用する僅かなエネルギーまで拘(こだわ)る必要もないと言う大局的な見地からの発想でした。

その為に、給湯や暖房等の大きな熱量を必要とする分野で殆どの熱エネルギーを夜間電力で賄うシステムの提唱が電化建築の原点でした。

しかし、同時に単なる夜間電力の利用ばかりでなく、幼児や老人、障害者のみ在宅する際の安全性や、就寝中や留守の際の安全性、早朝・深夜のタイマー運転や電話や、インターネットで遠隔操作をする際等、は燃焼を伴う機器の使用を制限する「使用状況や時間帯に依るオール電化」までは提唱しておりました。

その当時の電化建築のコンセプトを下記にまとめます。

 

従来の電化建築キャンペーンの趣旨

1.幼児や老人及び障害者の方々のみの在宅等で、管理者不在時の安全性。

(イ)高齢化社会を鑑みて老人や幼児及び障害者に安心・安全なシステム。

(ロ)就寝中や深夜、早朝の暖房時等の管理者不在と同様時の安全性の確保。

(ハ)ホームオートメーションの普及によるインターネットや電話による遠隔操作の際の安全性。

2.夜間電力の利用と昼間電力の消費削減による経済性と環境好適性の実現。

3.熱負荷の急増時等の緊急時や、災害等の非常時のための補助熱源の確保。

4.環境に好適な「新エネルギー」等の積極的な活用。 

等々でした。

 

現状のオール電化は「言葉の意味」では正しい

従来の電化建築のキャンペーンの趣旨では夜間電力の利用で化石燃料と昼間電力の消費が減少します。その結果、経済的で環境好適性が実現出来ることの提案でした。

ところがその後のオール電化の風潮は文字通り電力のみ使用する事が重要になり、経済性や環境好適性、使い勝手の面よりも、他のエネルギーの使用を制約する事のみに注力するかの様相を呈してきました。

これはオール電化という言葉の意味を厳格に考えた場合に当然の事です。オールが全てを意味する以上、他のエネルギーの存在は認めがたいことです。一神教の教徒が他の宗教を認めないと同様に、「オール電化」では他のエネルギーの存在そのものが不適切となります。更に厳密に言えば、家の中で少しでも電力以外のエネルギーが使用されるとオール電化では無い事になります。

この様に「オール電化」と言う言葉が確立してくると、それに対する別の新しい概念が必要になってきました。それは、後述するように柔軟な考え方でこそ、更に経済的で、環境好適で使い勝手が良いシステムが可能になるのに対して、オール電化のようにしっかり確立されたシステムではその様な柔軟な発想は無理であるからです。

その様な意味合いから「新電化建築」と言う考え方が存在する意味があります。

次章で「新電化建築」の概要をご説明します。 

 

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