グランドデザインコンテスト

現代住環境

第2章 国内の戸建住宅における快適性

2-1 日本における快適性

やや話が脇道に逸れたが再び本論に戻し、国内における個人の戸建住宅における快適性について少しく考えてみたいと思う。しかしながら、快適性という感性の世界では個人個人でその「快適」の定義が必ずしも同じとはいえない、またある事に関してはベクトルが同じであっても、それを測る物差しが個人により異なると考えられるからである。

ある人にとっての快適性とは、住まいの中に広い空間の居間を確保することであったり、窓からさんさんと陽が差し込む広い開口を持った窓であったり、または広いキッチン周り等であったりと、快適という感性は人それぞれが持つ価値観に依存していると考えるのが妥当であろう。個人個人が持つ快適性に対する価値観を全て共通の尺度で考える事に難しさが内在するので何らかの方法で価値観をノーマライズした尺度で評価する方法も考えられるが決して容易ではない。それに代わって、試みとして誰にでも価値観を共有できる、つまりベクトルを同じ方向へ向けられるテーマをベースにして考えを進める事が最も自然であると考える。それには、万人が共通の感覚を生む気候などを尺度の軸にすることでこの問題に解を与える事が可能と思われる。

概して、日本の梅雨時のベトベトとした湿度に対しては殆ど多くの人は不快感を持つであろう、故に、この湿度をベクトルの軸とした快適性に関して考えてみることで多くの人が共通して快適性を評価可能に成るであろう。日本では四季と梅雨(北海道を除き)の時期があることが欧米諸国とは大きく異なる気候風土である。梅雨時期と高温多湿の夏季を快適に過ごすことと、冬場の寒さからいかにして快適な住環境を得ることが出来るかが課題であろう。両者のうちで夏季、及び梅雨期の高温多湿から逃れる手段として既に多くの家々ではエアコンによる冷房・除湿を頼りにしている事に異論は無いと思う。故に、夏季・梅雨期の快適性に係わるディスカッションはここまでに留めておき、代わって後者の冬季の快適性について少々掘り下げて次ページより考えを述べてみたい。


矢印2-2 冬季の暖房器具と安全性

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