第4章 バイオマス・エネルギーの活用
4-1 新ストーブ型暖炉とバイオマス・エネルギー
環境に対する負荷などはどうであろうか。エコと呼ばれている新エネルギーには公的に以下の種類が含まれている、それらはコー・ジェネレーション(燃料電池や工場などで二次的に発生するエネルギー)、ソーラー発電(太陽電池発電)、風力発電、太陽熱利用等(再生可能エネルギー)、リサイクル型エネルギー、及びバイオマス・エネルギー等である。
安全性の面で見た場合には、薪を燃やすために裸火が気になるところであるが、設備の初期設置に当たってメーカーの定める設置仕様書の通りに設置環境を整え、所謂、暖炉の周囲を不燃性・難燃性の材料で仕上げるなどの配慮や、暖炉自身を多重に熱遮蔽し周囲へ熱が移らないように考慮しておく事でリスクは回避できるし、燃えている薪が爆ぜたりし床を焦がしたり失火などからのリスクを低減できるのである。 加えて、排気ガス中に煤や不完全燃焼による一酸化炭素などの有害ガスが発生しないことが大切である。それには、暖炉の吸気・排気効率に注意した設計はもとより、さらに大切な事は主燃焼室で一次燃焼を行い、そこから煙道へと出てしまう事がある不完全燃焼成分を更に燃焼させるマルチプル・燃焼室(副燃焼室)などを多段に設ける事で環境に負荷を与える物質を取り除くことを可能にしている。
そして、このマルチプル・燃焼室で高次燃焼が行われている際に廃熱を回収する設計がなされている。石油缶に煙突をつけたような簡易型の焼却炉の類は使用しないようにしたい。
薪ストーブ型暖炉は、ライフラインが万一止まってしまった場合、言い換えれば災害が発生した時などには大変に役に立つ都合の良い熱源設備で、薪を燃やすことで想像以上の熱量を発生する。
薪を燃やした時に発生する熱量は単位重量あたりで約4,000Kcal/Kgの驚くほど大きな熱量を発生する、この熱量は最近注目を集めているIHクッキングヒーター3KW型コンロで2,583Kcal/Hr.を、さらに大型強力型の4KW型では3,444Kcal/Hr.の熱量を発生するが、お分かりの通り薪1Kgが発生する熱量の方が多いのである。例えば、1Kgの薪とは概ね硬式野球のバット一本よりやや大きいと考えていただくと分かり易いと思う、かのホームラン王の王選手のバットは約900gr.程度の重さである。
当然ながら、暖炉の発熱量の調節は暖炉の火口へ投入する薪の量で自由に調整する事が可能であるが、この薪をくべる仕事は何とも和みがあり癒されて楽しいものである。
また、環境に対する負荷としては、薪を燃やすので炭酸ガス(CO2)が排出され大気中に温室効果ガスを増やしてしまうと懸念されるであろうが、樹は森林で生えていた時に大気中の炭酸ガスを太陽光線の基で炭素同化作用により炭酸ガス取り込み樹木の中へ吸収・固定する作業を行ってきた、その固定された炭酸ガスで樹木の幹や枝が出来上がってきたのである。 幹や枝を薪として燃焼させることは、元々あった自然界へ返すことであり、CO2を人為的に放出した事にはならない。そして森林の樹木が再びCO2を吸収し固定するというロングレンジで見て自然のサイクルが働くので環境への負荷は変わらないのである。 この様な燃料の利用の仕方を木質系バイオマス(薪)のエネルギー利用と言われている。
バイオマス・エネルギー(薪)の確保と流通経路の確立が今後の課題ではあるが、その一環として燃料としての薪を確保するために、森林の間伐材が広く利用されつつある。植わっている樹木を切り倒すのでもったいないと思う節もあるが、育ちすぎて枝が密集しすぎた森林から間伐材を切り出すことは残った樹の根元まで日光が差し込む様になり、今まで以上にその樹は元気になり、その分空気中からCO2を今迄以上に積極的に取り込む事ができる様になり、ますます樹は元気を増してくるプラス方向へ作用する。結果として、森林全体で考えれば、CO2の削減に繋がって行くのである。故に、バイオマス利用の薪ストーブ型暖炉は地球環境に優しい「エコ」製品なのである。