グランドデザインコンテスト

現代住環境

第4章 バイオマス・エネルギーの活用

4-2  バイオマス・エネルギーのリサイクル社会

環境に優しく、ライフラインが確保できて、家族に癒しと楽しさを提供してくれるメリットの多い薪ストーブの更なる普及には燃料としての薪の確保を容易にするための施策が大切である。一つの考え方としては、家を改築する際には古い家を解体するが、その解体時に発生する建築廃材を積極的に再利用し燃料とするリサイクルの道筋を関係業界で作り上げていただきたい。現状に於いては、これらの解体木材は全て建築廃材として産業廃棄物の処理のルールに従ってゴミとして捨てられている。

その昔、東京が江戸と呼ばれていた時代には街中にある特殊な職を生業としていた集団があった。「火事と喧嘩は江戸の華」とまで言われた江戸では火事が頻繁に発生し、町火消しが消火活動に活躍した。半鐘がジャーンとなると纏を先頭にいち早く火災現場に駆けつけて燃え盛る町屋の屋根に上り纏を振りかざす勇ましい火消しの姿を思い浮かべるであろう。 町火消しは表舞台の花形であり、纏持ちは町人達の憧れの的になっていた。一方、消火活動の後には燃え残ったり燻ったりした柱などの他におびただしい量のどこも燃えず、焦げてもいない木材が多量に横たわっていたと言われている。

これは、当時の消火活動が火を直接消す活動を主とせずに、殆どが延焼を食い止め大火にならない様にするための“破壊消火”を行っていた為である。そして、鎮火後に焼け跡にすぐさま駆けつける“跡片付け集団”(正式名は不詳)があった。彼らは、使える木材を集め、焦げている柱はその場で炭化した部分を取り除き、焼け跡を片付けてきれいな更地にし、すぐさま町屋が建てられる様にしていった。整理した木材は、その場で家の再建に再利用し、あるいは、他の場所で同様に有効活用して木材を大切に利用していた。更に、焼け焦げのひどい柱などは船着場の杭や、或いは、当時行われていた大川(隅田川)の河口や東京湾の埋立地の土留め杭などに利用していたと聞いている。江戸の街にはこの様なリサイクルされるシステムが完備されていたようである。このような建築廃材の再利用システムを現代社会にも反映して燃料として再利用できるようにしたいものである。


矢印4-3 再生可能エネルギー・太陽熱利用

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