グランドデザインコンテスト

現代住環境

第4章 バイオマス・エネルギーの活用

4-3 再生可能エネルギー・太陽熱利用

第四のグループは太陽熱をエネルギー供給源として利用したシステムで、最も環境にやさしいと言え、新エネルギーの一つである。太陽電池式は昼の日照を利用して屋根などに設置した太陽電池で発電し、その電力の一部は自家消費するが余剰の電力を温水蓄熱槽に送りヒーターで加熱し温水を製造するシステムである。

現在は、余剰電力を電力会社へ売電しているケースが殆どであるが、本システムもオプションとしては今後期待が持てる方式と言える。

これと類似の方法は、太陽熱温水製造器で同様に屋根に設置し、太陽熱で温水を沸かす方式で、これも新エネルギー利用の一つである。温水器と蓄熱層を直結しておく事で、昼間に得られた温水を温水蓄熱槽へ溜めておくことが可能である。これらの太陽熱エネルギー利用方式は床暖房の夜間電力を利用して蓄熱槽の温水を温める補助熱源として利用するのに適しているであろう。もし仮に、家屋の屋根が平均的な住宅面積よりも十分に広く太陽電池パネルを多量に施設できる条件が揃っていれば大電力の発電も可能となるであろう。02

 

同じく、太陽熱を利用した蓄熱式は、日照のある間にその熱を地下室に設けたレンガ壁や石材ブロック等に風を送って蓄熱し、夜間にはその熱を風で屋内に送り込む方式である。構造設備などがやや大掛かりになる嫌いがあるが環境にやさしいエネルギーの使い方として活用すると面白いだろう。この方式も、床暖房の補助エネルギーとして併用すると雨の日や積雪時を除けば、エネルギーの利用効率が高いシステムと言える。

補足ながら、先の洞爺湖サミットの会場で冷房に利用されたエネルギー源は、北海道に豊富にある雪を上手に利用した冷房装置で会場の地下に大量に雪を蓄え、その中に空気を送り冷えた空気を会場へ送気した冷房設備であった。これは冷房の例であるが、太陽熱を地下のレンガに蓄熱する方式の暖房とは冷房・暖房の差があるものの技術的に共通性があり上手に利用すると環境に優しい冷・熱設備を完成する事ができると思われる。
例えば、この補助エネルギーの活用としては、東北地方や北海道地域の夏は関東以西と比べて涼しいことから、夏場に向けて冷房装置(エアコン)などを大げさに設置している家庭は稀と思われる。事実、著者の勤めていた会社の札幌支店には冷房施設が無かった。そして、それらの地域での夏場の温度は関西以西の其れと比べてそれほどは高くはならずほんの少し冷気を出してあげれば冷房効果が期待できると思われる。幸いな事に、寒冷地であるこれらの地域では冷気を遮断する断熱性と機密性に富んだ建築構造を持っている事から、夏季の冷房効率も期待してよいと思われる。

その逆に、関西以西、特に四国、瀬戸内、九州地区などの冬は東北・北海道地域と比べてそれほどの厳しい寒さにはならないと思われるので、それらの地域には太陽熱利用の温水や、太陽電池発電・蓄熱槽利用の暖房などや、地下のレンガブロックに蓄熱する方式のシステムなどの補助エネルギーを有効に利用してみると面白いと思われる。

この二つの例は、イタリア地域とスエーデン地域がそれぞれ暖房設備を、そして冷房装置を大げさに持たない事とあい通じる事柄で面白い。なお、暖かく感じるか、寒さを感じるかは個人個人で差が有り、その地域で永く生活しているとその地域の気候に身体が順化しているので温度計で測ったような暑さ寒さとしては感じが異なる事があるので、上記はあくまでも一般論と捉えていただく事をお断りしておく。


矢印第5章 戸建住宅向けの床暖房と夜間電力

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